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ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る (光文社新書)
- 作者: 梅森直之
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/05/17
- メディア: 新書
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内容に関しては第2部以上に正鵠を射た解説は不可能なので割愛。翻訳も大変こなれた出色の出来。ナショナリズム論の入門書としても最適。カン・森巣本と並んでお勧め。それにしても、アンダーソンが未だにアイルランド国籍を保持していることに驚いた。アイルランドとナショナリズムは切っても切れない間柄なのか。そうそう、世紀転換期のあたりで、アナーキズムがグローバルに連帯し、ナショナリズムの醸成に一役買っていた、という分析(仮説)はかなりの迫力。アナーキズムとナショナリズムってどう考えても犬猿の仲に見えるのに。ブリリアントやわあ。
誰も「間違っていました」と書いたり言ったりしないということを、わたしは、学者の世界の悪癖であると考えています。二十年も前に言ったことを、ずっと守り通そうとしたり、いのちをかけて言ったことだと言ってみたり。[中略]
わたしはつねづね、二十年も前に言ったことをいまもいい続けている人がいるとすれば、その人は自分を恥じるべきだと考えてきました。[中略] ここで自己批判をすることは、ある意味で、われわれには、いつでも「間違っていた」という準備があることを、宣言したいと思うからです。
わたしは、自分がおかした誤りを修正したいと思います。間違うことは、決して悪いことではないのですから。(24-25)
マルキスト的な批評をしてきたアンダーソンの立ち位置を差し引いても、これほどの地位と名声を誇る大学者が「自己批判」するのは大変勇気のいることだと思う。(よくいるもんなあ、変わらない人って。それにしても、思い当たる節があるなあ、何人か。二十年かどうかは知らないけど。)改めて自己批判しなくちゃなあ、と自己批判してみる。
ところで、とてもむずかしい話を聞いたあと、皆さんはどうしていますか。僕は、他人の迷惑も顧みず、そのへんにいる友人をつかまえて喫茶店に連れ込み、とりあえず聞いた話の感想を、しゃべってみるようにしている。これは、結構いいですよ。しゃべっているうちに自分の考えがまとまってきて、「なるほどそうだったのか」と叫んだことも一度や二度ではない。そもそも僕は、こうでもしなければ、人の話をわかったためしがないのだ。
そのようなわけで、このパートでは、アンダーソンの講演を聴いた僕の感想を、編者の特権として、少ししゃべらせてもらうことにしたい。僕のおしゃべりに退屈したら、どうか自由に席を立って、あなた自身の感想を、ほかの誰かに話し始めてもらいたい。(110-11)
編著者曰く。叫ぶかどうかは別として、よくあるなあ(家庭内において)。というかまさにこの場はそのためにあるようなものというか(玉石混交というか大部分はどうにもならない石なワケだけど)。書いたり話したりすることって、読むことや聞くことと密接に繋がっているからなあ。そういえば、お師匠さんが毎日原稿用紙一枚でもいいから何か書けって言ってたっけ。確かに書くとわかるんだよなあ。但し、自分がいかに何もわかっていないかが。しんどいなあ。