- 作者: 山田詠美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1997/04
- メディア: 文庫
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表題作は、性を表象する日本語の妙を、日本語を通じて表現してみるといった主旨の短編、というかエッセー。ところどころに作家論のような思索を忍ばせつつ、下ネタをふんだんに駆使して筆致に推進力を与える。ひとつひとつはおもしろいエッセー、あるいは短編が並ぶ。
だけども、読んでいるうちにだんだん飽きてくる。私は人並みはずれてわがままな読者なので、肩を揉んでもらいにやってきたとしても、足裏マッサージだってやってもらいたいし、整体なんかもお願いしたい。けれども、山田は肩しか揉まない。断固として肩しか揉まない。肩凝り対処法のヴァリエーションの豊富さはさすがだろう。叩いて揉んで、解して伸ばして、肩凝りに悩む読者は、晴れ晴れと帰路に着くに違いない。肩凝り診療のスペシャリスト、山田詠美。
果たして、山田は男女の心理戦しか書かない。引き出しの多さはさすがだけど、あたしゃ別の箪笥も覗きたい。