米文学の日文・英文雑誌が届いた。どの論文も構成・言葉ともにしっかりしていて読みやすい。問題設定は斬新とまでは思わないけど、矛先を正中から少しずらしたところに突き立てる手際はそれぞれ鮮やかでおもしろい。難を言えば、予定、調、和か、なぁぁ・・・(押し入れの闇に向かって)。でもそれは「読みもの」を期待してしまうわたしの贅言。論文としてはどれも水準が高いと思う。
読みでいえば"Dar Mr Jason Car"(銓衡委員長の選評どおり)、テーマでいえば "The River runs through him"(そうきたか、と) と「元気と病気」(タイトルのインパクトに負けて大概のひとは読むことになるだろう)がわたしは好き。
手元にあるものは除くとして、書評からピックアップしたいのは
- 作者: 貴志雅之
- 出版社/メーカー: 世界思想社
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- 作者: 亀井俊介
- 出版社/メーカー: 彩流社
- 発売日: 2010/10
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- 作者: 西原克政
- 出版社/メーカー: 港の人
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- 作者: アメ労編集委員会
- 出版社/メーカー: 南雲堂フェニックス
- 発売日: 2010/12/15
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特に『二〇世紀アメリカ文学のポリティクス』はひとつひとつの論文がおもしろそう。
『文学・労働・アメリカ』の書評はずいぶん独特だなあ。論集の具体的な内容が一向に伝わってこないけど、これでよかったのか。というより、書評子が屋上屋を重ねるようにさらなる緒言を足した、という理解でいいのだろうか。それならば、書評子による問題設定に対する問題設定が、惹句、あるいはずいぶん長い「帯」として本の中身への関心を少なからず掻き立てる、という効果はあると思う。
それにつけても、(英文学も米文学も)新人賞の副賞がもしもどこぞのアカポスだったとしたら、全国の非常勤・D論修行僧から投稿が殺到するだろうなあ。投稿数200は行くな、たぶん。査読する側はたまらんだろうけど。何十周年事業とかでやってみたらどうだろう。査読の水準高いだろうなあ。もう誤字ひとつで「はい、さよなら」みたいな。