エィガ批評
寒かった。暖房は雪が降るまで我慢。キーボードの前に腰掛けていると、だんだん冷たくなっていく。コタツに逃げたら、負け。一日が終わる。
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2月の中旬は、教室の隅っこで小旗を振りながら、ありがたいお話を拝聴することにしよう。ああ、でもあそこは此処よりはるかに寒そうなので、考えただけでちょっと気分が滅入る。腰が痛い。けれど、万難を排し、こっそり参加する。「誰?」扱いされること必至。
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断煙の禁断症状も緩和した。少しずつ頭も動くようになってきた。「飲んだから書いた」みたいなことになってしまっているけど、読んだものについてもこっそりちょこちょこ書くことにしよう。まずはカルイものから。
- 作者: 江頭2:50
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2007/12/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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物心ついた頃から映画に親しみ、膨大な数の映画を鑑賞してきたという江頭の前史にまず驚嘆する。ビンボー生活の中でも、なんとかやりくりして、遠く離れた映画館にコツコツ通う幼年時代の逸話は、情感豊かで温かい。長い時間をかけて、江頭の映画観は培われてきた。
もちろんこの男、ただ映画を観て、「ああ、楽しかった」で終わる男ではない。俳優の名前や監督の名前、それから受賞歴を連呼するだけのミーハーな映画ファンではもちろんない。なんといっても江頭は、物語の勘所を掴んで離さない。『ゴッド・ファーザー2』のドン・チッチオが刺されるシーンに、「復讐」・「家族の絆」・「(最終手段としての)暴力」が凝縮されていると喝破する手際など実に説得的で鮮やか。もちろん、褒めるときだけではなく、(本書の大部分を占める)批判のときもしっかり根拠を示して読者を説得する。改善の方途を示し、その映画のポテンシャルを余すことなく引き出す。だから、どんなに貶されている映画でも、なんとなく観たくなってくるからあら不思議。個人的には『パフューム』を観てみたい。
前半で最近の映画評を並べて、中盤に自分史やジャンル論を挟み、終盤に「生涯映画ランキングベスト25」で畳み掛ける。マニアックすぎず、古今東西ハリウッド以外にも目配りした選出は、なるほど、と唸らせる。たまにギャグがすべるが、そこは無慈悲に流す。
昔『浅ヤン』の「江頭は何者なのか?」って企画で、筑波大学付属病院の精神病棟に行ったんだよ。はじめ、そこにいた患者さんは、独り言を高速でブツブツ言ってたり、怯えたりしてたんだけど、オレがテンション上がって「キエーッ」とか「オョョョッ!」とか言いながら病棟を歩くと、みんなスッと普通になっちゃうんだよ!
―――やりすぎですよ。
小田晋教授が言ってたんだけど、人間って、ボケとツッコミの関係を維持しようとするんだって。だから、オレみたいな強烈なキャラクターが現われると、患者さんは無意識のうちに、「ちゃんとしなきゃ」って思うらしいんだよ。
マジかよ。
[追記] そういえば巻末には「エガちゃんシール」が付録としてついてくる。これだけでも買う価値ありとみた。