雑感

 もろもろ。嫁出張、オレ弁当。
 なにやら反則教唆みたいなことで昨晩の出来事が穿り返されているようですが、徹底的にヒール役に徹している彼らのことですから、特に問題はないか、と(ボクシング界のルールで裁かれるわけなので、外野が口を挟む必要はないのではないかと思います)。こうなることは予想済みの識者の方もおられるわけだし、何より彼らのこれまでの戦いを見てれば織り込み済みといっても過言ではないでしょう。けれど、このまま彼らを社会的に抹殺するのは、ホリエモンとかの例に倣って、ごく簡単にできてしまうんだろうなあ。
 でも、正しいものがはっきりしない世の中にあって、彼らは結構貴重な存在だとを思うんですよねえ。彼らを批判することで、どんなろくでもないコメンテーターでも批評家でも簡単に正義の味方に同一化できてしまい、しかも絶賛されるのだから。キャラ的に弱いあの波田陽区似のボクサーだって、今回対立軸を作ることで、見事に正義の味方として一本立ちしてしまった。でも残念ながら、彼らとやらなければ、もうこれほど注目を集めることはないんだろうなあ。ポンサクレックとの再戦を組んでも、果たしてどれほどの注目を集めることができるか。長兄との戦いを物語化してその中に位置づけないと、どんなに強い相手とやっても注目を集めるのは難しいでしょう。彼らがどれだけボクシングをきちんと物語化して、対戦を図式化していることか。結局、ボクシング界は、ボクシングとは認めたくない異端者の存在とそれに対する反発によって、かろうじて耳目を集めているに過ぎないのではないでしょうか。もちろん、彼らがボクシング界に貢献しているなどというつもりはありません。だって、潤ってるのは彼らだけだし、彼らのボクシングを観てボクシングやりたい、と思うような青少年がいたら、そりゃリングに立つ前に再教育の必要ありかと。けれども、ボクシングの存在が、かなり歪められた形ではあっても、かろうじて一般のメディアにのるようになったのは、彼らの戦略のおかげだと思います。その戦略の中身がいいか悪いかは別にして、彼ら以上のコンテンツはボクシング界の外に出てもそうそうないのが現状だということです。
 まあ、でもどんな物語にも終わりがくるように、彼らの物語もそろそろ終わりそうな感じはあります。なんせ、図式化は上手でも、ボクシングそのものがつまらないですから。辰吉の試合なんかを見返したりしてみると、ああ、ボクシングってこんなんだったよなあ、と懐かしくなるくらい、彼らのボクシングは素人目にもつまらない。彼らの試合が注目を集めているのは、もはやそのキャラがちょっと痛々しくて面白いからでも、親子愛に感動しているからでも、ましてや彼らのボクシングが面白いからでもなく、彼らが負けるところが観たい、つまり彼らをやっつける正義の味方がやってくるところが観たいからでしょう。今回、牙城は音を立てて崩れ始めました。まだ長兄が残ってますけど、果たしてそこまで正義の味方に対する興味が持続するかどうか。ヒールが強くなくちゃ、善玉を応援する力も涌きません。この物語が続くとしたら、あのお兄さんが圧倒的に強いところを見せなくちゃだめでしょう(次男坊は引退するのが賢明だと思います)。
 どっちにしても、彼らの唯我独尊スタイルはそろそろ修正した方がいいのではないかと思います。罵倒するのはいくらでもOKだと思いますが(教育論的な観点から批判するコメンテーターの方がいらっしゃいますが、どう考えても論点がずれてるでしょう)、戦いが終わったら相手のことを認める、というのはまあボクサーとしていくら異端の存在とはいっても、ボクシングの範疇に留まる上では当然の振る舞いだと思います。それからあのボクシングスタイル。彼らの存在自体は非常にスペクタクルなのに、ボクシングのスタイルは非常につまらない。ガードを固めて、頭を低く保って、突進して、相手のパンチの隙を見計らって、何発か返す。あんなに頭を低くして、なんでレフェリーに注意されないかも疑問ですが、そもそもあのスタイルって、彼らはKO率を上げるためだとかなんとかいってるようですが、防御してナンボのスタイルであって、どこにもスペクタクルな要素はないように見受けられるんですが。要は、相手関係とか観客を楽しませるためとか、実は何にも考えてなくて、ただ親父の考案した我流のスタイルだからやってるわけでしょう。なんでも、昨日の会見で、チャンピオンのフェイントに挑戦者がひっかからなかった、という件で、どうも挑戦者はチャンピオンの目を全く見ていなかった、ということが暴露されたようですが、ここに彼らの唯我独尊ぶりは象徴されているといってもいいでしょう。相手が何を狙っているのか、そんなの関係ねえ、わけです。せっかく、試合前のパフォーマンスで図式化・物語化しているのに、試合がつまらない。それはやっぱり、自分たちが作り上げた物語を自分たちだけで演じようとするからつまらないんでしょう。見えない敵と戦う、というか敵を見ないで親父だけを見て戦うのは、そろそろやめませんか。長兄の防衛戦でのスタイル、あれが正解だと思います。まだ世界チャンピオンのレベルにあるとは思いませんが。親父離れしてみてはいかがでしょう。
 って、できるもんなら、とっくにやっとるだろうなあ。もう手遅れか。TBSが撤退したら、協栄も手を引いて、結局何もなかったことになるんだろうなあ。まあ、自業自得っちゃあ自業自得なのだろうけど。あたた、書きすぎた上にまとまりないなあ。