読了リスト(2011)

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 フィクション:『海底二万海里』(デ・ゼッサント的隠遁、復讐、身中の虫、「メールストロム」「ゴードン・ピム」などポオの影響、機械による驚異・新世界の創出・発見)
『西洋中世奇譚集成:皇帝の閑暇』(伏流する驚異、奇跡と驚異の分断、科学・理性による土着信仰の取り込み)
地下室の手記』(バフチン=他者の先取り? むしろ単なる弁証法、不完全な内的体験、思考と行動の分裂、無意識の隠喩としての地下)
ジキル博士とハイド氏』(無意識と夜、群衆、マッドサイエンティスト入れ子式の手紙、狼男、フロイト、精神と身体の同期、縮小と拡大、アイデンティティの多元性/存在の栓としての筆跡『指紋論』、エクリチュールとプログラム化された死、逃げ場のなさ=平坦化、深層の不在へ、知性と書棚)
『切り裂き魔ゴーレム』(ワイルド、ディケンズマルクス、ギッシング、ディファレンス・エンジン、ライムハウス、ユダヤ人街、『エドウィン・ドルード』、見世物文化=殺人とミュージックホール、ヴァラエティシアター、アモルフ、演技の拡張、日記の捏造、死刑の非公開化→それでも劇化の遺志)
『カメレオンのための音楽』(音楽、色、黒鏡、秘密、カメレオン、植民地)
すばらしい新世界』(シェイクスピア、人間の表面化と階層化、自由と引用、引用による反逆、すでに誰かに書かれた自由、処女地の不在、プログラムの全域化、支配者と反逆者の同質性、壜の大小にかかわらず壜のなかに生きる人間)
『痴愚神礼賛』(メニッペア、ユマニスト、ラブレー、モア、女性性とフール、内破する笑い、知を揶揄する知の痴愚的引用)
『フライデーあるいは太平洋の冥界/黄金探索者』(大地との性交、クリスチャンの原始宗教的変容、文化変容というより文化越境的/ 冒険もの=探しているものがすり替わるパターン、水に導かれた旅、大地に刻まれた海賊の痕跡と星回りの照応、歴史性と永遠との結合)
『毛皮を着たヴィーナス』(マゾキズムというより権力論、
文藝春秋芥川賞受賞作掲載)』(「きことわ」=地層と輪郭の溶解、ベルクソン的・プルースト的時間、制度としての時間に向かわないため、審美的作品に留まる、「苦役列車」=私小説であると同時に自己パロディ化、途中下車の可否、書くことを通じて列車をスローモーション化、安易な和解の拒否、共感と嫌悪の交じり合い、自己証明の不在⇔フォークリフトの免許、積み上げと反復)
『1000の小説とバックベアード』(私小説メタフィクション、ろ過できない文体・言語・小説、サプリメント文学・ライトノヴェルと<片説>→「ミス・ロンリー・ハーツ」、書く行為に対する信仰)
『ホワイト・ジャズ』(狂いきれない狂おしさ、正気と狂気の断続、切れ切れの文体、記憶の断片化、フラッシュ・フォワード、歴史の記憶化、時間の欠落、純粋持続、脱個人化し集合化した欲望、無目的、企図なき投企)
『子供たち怒る怒る怒る』(ラノベ的、想像的領域と象徴的領域のあいだの葛藤、水平的連帯、大人と子供の断絶、教養主義の崩壊、「死体と、」=見知らぬ他人同士を繋げる他者性としての死体、記憶の断片を縫合し物語化する契機としての死)
『吸血鬼ドラキュラ』
アーサー王宮廷のヤンキー』
地底旅行
ドン・キホーテ(1〜6)』
『ジョニーは戦場に行った』(皮膚としての脳、思考。記号の交換。シニフィアン。叩く。皮膚=自我。世界のアナロジーとしての閉じた皮膚)
ツァラトゥストラ』(歩く=読む。瞬間的・刹那的・啓示的深淵→歩く=永遠回帰
『くそったれ!少年時代』
ロックンロールミシン2009』
『ポータブル文学小史』
『ラジオデイズ』


 
 非フィクション:『フランソワ・ラブレーの作品と中世ルネッサンスの民衆文化』(可塑的身体と閉じた身体、再生を含み持った死からバロック的死へ、『ドイツ悲劇の根源』、メニッペア、ユマニストと民衆文化)
『迷宮としての世界(上下)』(各論可、総論不可、ネオプラトニズム=個の神格化、レオナルドの性器論)
『フレンチ・セオリー』(理論と文化、アメリカの大学制度、パンデミック、「traveling theory」の受容史的実践、日本における受容は間違っている、イギリス・ドイツの影薄い、理論のポップカルチャー化)
『コーラ』(名そのものではなく、呼び方、主体に自らを書き込みにやってくるプロセス、コーラ=原エクリチュール、ミメーシスによる場の収奪、贈与→コーラの顕現、コーラ=ソクラテス的、置き換え不可能な場所、いかなる語りの対象ともならない語りの受容体、『デ・アニマ』・『襞』・『内的体験』・ベンヤミンとの関連性)
『中世・ルネッサンスの音楽』(民衆音楽と教会音楽の混交、マイスタージンガー、騎士道音楽、巨人ギョーム・デュファイ、声楽と器楽の階層化、グレゴリオ聖歌の絶えざる注釈、多声音楽、各パートの模倣関係、ポリフォニー=水平的、ホモフォニー=垂直的、前者から後者へ推移、日本への伝来→楽器の製作、声楽の普及、単純化カルヴァン、複雑化を支持=ルター、バフチンポリフォニー論は比喩だとしてもおかしいと思う)
『内的体験:無神学大全』(言語による言語の超克、形象を目指す?、恍惚、贈与、デリダベンヤミン的、翼のついたメランコリー?、砂としての言葉、主客融合の場=自己、晩年のフーコー、闇=外部への吸収、非=知による絆、認識の一形態としての不安、不安と恍惚、躁鬱の反復、極点は掴むことはできない、触れるのみ、太陽をまなざす、推論的理性に拠る推論的思考の破壊、二粒の砂のような無名の世界、コーラ的、記号からの脱出、傷口としての自己、神=無神論者、あらゆる中間項の廃絶=反ディアファーネス?、嘲弄できないものは体験足り得ない、エロティックな絆=滑稽の絆=血縁の絆=聖なる絆=ロマン派的絆、神は可能事に従属している→神学ではなく、無神論でもない、ナンシー=ブランショのライン、ドゥルーズアガンベンなどなど、『物質的恍惚』、深層の創出)
『非-知』(無知による共同性、非−知と全知の紐帯)
ハーメルンの笛吹き男』(旅する伝説、子供十字軍、ペスト、東方植民運動、共同体の階層、賤民、旅芸人、定住と漂泊、鼠捕りへの変成、土着信仰の寓話化とキリスト教道徳、中世都市の膨張)
『狂気の西洋音楽史』(声楽から器楽、楽器としての声=機械化?、長調短調から無調、ピアノとチェス、マスキング、領域の限定、ルールへの従属、主体化、シュレーバー音の壁、『千のプラトー』、意味から絶対音楽絶対音楽に対してオペラの流行、詩学や文学との並行、ポピュラー音楽によるメジャー/マイナーの脱却・意味の奪還?、音響の鏡、皮膚論への接続、『機械仕掛けの歌姫』の欠落を補完)
『格闘技絶対王者列伝』(ロシアの格闘技事情、アマチュアとプロ)
『華麗なる騙しのテクニック』(catch meのモデル)
西洋音楽史:クラシックの黄昏』(絶対音楽、12音階法、制作の機械化とそれに対する抵抗、声楽と器楽)
ユイスマンスとオカルティズム』(伏流する流体、感染→引き受け→浄化のプロセス、食物と女性性、神学的内的体験と無神学的内的体験は違うのではないか、フロイトラカンとの接続、皮膚の穢れ、こそぎ落とす、蒐集・剽窃・引用・アセンブラージュによる流体的なもの・アモルフ・アメリカニズムに対する抵抗?、バフチンにおける中世的身体と流体論の接続可能性、『ドラキュラ』や『ジキル』など、身体の輪郭と流体→濡れたシーツ=バトラー・港千尋、変身と転向、闇夜の創出)
『claude glass』(悪魔の尻、鏡占い、凸面鏡の忌避、18世紀末ピクチャレスク美学:風景に対する理想化の道具、19世紀以降:風景に対する観察者の眼を補完、メタファーからメトニミーへ、理想の風景から観察者自身の再考、見ることとはなにか)
『声の分割』(反解釈学、ハーバマス=ガダマーへの反論、ハイデガー存在論の批判的継承、バタイユの非-知を敷衍した新解釈学、音声におけるディアファーネス・コーラとしての<ヘルメーネイア>、デリダ無為の共同体ブランショ、解釈的循環を(無)意味の分有へと転換、言葉が生成する根源・形象としての声、磁力<告知>によってくっつく独立したたくさんのリング、ミメーシスによる脱自、dia-=パルタージュ、「言葉だけが語る。そして言葉は孤独に語る。しかしながら、孤独にありうるのは、単独でないものだけである。単独でないとは、つまり、分離され、孤立し、関係を欠いたものではない、ということである」(ハイデガー、『言葉への途上』、音響の鏡)
『思想地図β 1』(ショッピングモールにしろ、パターン論にしろアーキテクチャの範疇、公共性を設計する社会学、つまり構造ではなくシステムを志向する、切断の意識の低さ、論壇や座談における異分子の必要性、批評=スローモーション*菊池の音楽論)
『時計の社会史』(制度としての時間、装飾品としての時計、大量生産と時計制作技術の進展、複製技術=時計だけではなく時間も複製、ならびに時計台→クロック→ウォッチへと至る時間の個人化・内面化の過程、明治人による西洋時間の翻訳、鉄道のダイヤのために標準時を調整、鉄道会社による時間の標準化→国家による法制化→国際的標準時の合意)
『大局観』(羽生、前作に比べるとインパクト薄し、モチベーター、負けたときこそ変化するとき)
『自己分析』(ブルデュー自身を社会学的に考察、サルトル、いわゆるポストモダン派との確執、カンギレーム、フーコーとの類似と差異、安楽椅子探偵レヴィ=ストロースに対する反感、哲学と人類学の混交から社会学の方法論を見出す、貧しい生い立ちと『ディスタンクション』)
『GO Fight』
『明かしえぬ共同体』(死にゆくものの隣人、個人から存在へ、他者への劈き、関係ではなく近さあるいは位置の維持、還元不可能、線ではなく場所・部屋・空間、分有、非言語的コミュニケーションの空間、passion、レヴィナスとの違い=関係の廃棄、マゾッホ的、ベンヤミンデリダ的形象、言語の彼岸、バタイユ、ナンシー、ブコウスキー
『夜戦と永遠(上下)』(ラカンルジャンドルフーコー、紆余曲折の思考、神秘化・崇拝・虎の威を借りることの無意味、借用ではなく、共に思考する)
『欲望について』(欲望がなければ理性は働かない、自由とは選択肢)
『方法論的個人主義』(自己言及、自己再生産のアカデミア、ミクロ社会の細分化、「個人」を乗り越える方法は?)
『皮膚―自我』
『ペリー提督 海洋人の肖像』
マゾッホとサド』(関係論の廃棄、ふたつの世界、個人ではなく存在の次元、マゾッホバタイユあるいはブランショ
『ランスの大聖堂』
『1985年のクラッシュ・ギャルズ』(独立した言語世界、世代間の言語ギャップ、記号に萌える)
東京大学アルバート・アイラー(青赤)』
『憂鬱と官能を教えた学校(上下)』
『一般意志2.0』
ゴールキーパー論』
『精神の危機』
ホモ・ルーデンス
『書物の敵』
バタイユと文学空間』
『非道徳教養講座』
『どうかと思うが、面白い』



 キネマ:『ロッキー4』(冷戦)『ロッキー5』(弟子を殴る)『コンフィデンス』(コン・ゲーム、二転三転)『アナライズ・ミー』(マフィアと精神分析医、父の死、喪の失敗→マフィア業を相続、喪の作業の開始→マフィアからの離脱、逆転移、分析医の父性化、マフィア化)『英国王のスピーチ』『ブラック・スワン

 
 積読:『モンティニーの狼男爵』『ひまわり事件』『公共性の喪失』『キマイラ 青龍変』『失われた町』『プラハの深い夜』『妖人白山伯』『家庭の事情』『眼の探索』『アガメムノーン』『大学の歴史』『反哲学史』『現代の哲学』『ロンドン 都市と建築の歴史』『白い牙』『ブラウン神父の純智』『道の文化史』『廃墟の美学』『カンガルー・ノート』『燃えつきた地図』『他人の顔』『廃墟論』『テキストの記号論』『アメリカン・ゴシックの水脈』『海のカテドラル』『チェ・ゲバラの遥かな旅』『空間<機能から様相へ>』『風の影(上下)』『革命について』『エレンディラ』『イタリアのおもかげ』『詩学/詩論』『モルグ街の殺人その他(新訳)』『エッセンシャル・マクルーハン』『伊藤計劃記録』『フランドルの呪い画』『大聖堂(上中下)』『香水』『中世民衆の世界』『悲劇の誕生』『エクリチュールと差異(上下)』『エッセンシャル法医学』『オン・ザ・ロード』『衣服哲学』『聖なる怪物』『砂漠の反乱』『ギリシア喜劇全集1』『ローマ喜劇』『ワインズバーグ・オハイオ』『都市の詩学』『ランボー全詩集』『伝奇集』『近代の拘束、日本の宿命』『ファウスト(1・2)』『トリストラム・シャンディ(上中下)』『ポオ小説全集3』『悪魔祓い』『ボードレール全詩集』『大伽藍』『ABC戦争』『バルセロナ―地中海都市の歴史と文化』『無為の共同体』『美の歴史』『醜の歴史』『ベンヤミンコレクション(1〜5)』『ヨーロッパ視覚文化史』『ゴシック・リヴァイヴァル』『ハワーズ・エンド』『失われた時を求めて(1)』『エロティシズム』『読書について』『町でいちばんの美女』『ユートピア』『空の青み』『遊びと人間』『綺譚の箱(ホフマン他)』『世紀末の箱(ユイスマンス他)』『迷宮の箱(カフカボルヘス)』『アエネーイス(上下)』『イーリアス(上下)』『オデュッセイア(上下)』『中世騎士物語』『アーサー王の死』『もうひとつのルネッサンス』『汚された世界』『アメリカ文化論(ホイジンガ)』『海を見たことがなかった少年』『アメリカのデモクラシー(1〜4)』『アフリカの印象』『アメリカン・デモクラシーの逆説』『ヨーロッパ人のアメリカ論』『鏡の影』『文学空間』『バルザック:風俗研究』『散歩の文化学1』『十五少年漂流記』『平行植物』『Thames: Sacred river』『Mummy: the inside story』『Crying』『Fraud's Library』『タイム・マシーン』『宇宙戦争』『博士の愛した数式』『ブラフマンの埋葬』『レジャーの誕生(上下)』『ブラックダリア』『アンチ・オイディプス(上下)』『資本論(上下)』『存在と無(1〜3)』『存在と時間(上下)』『エセー(1〜4)』『ネオ唯物論』『近代日本奇想小説史』『音楽を展示する』『聖と俗』『ベストセラーはこうして生まれる』『The writing of the disaster』『オスカーワイルドの遺言』『ヴァレリー・セレクション(上下)』『愉悦の蒐集:ヴンダーカンマーの謎』『建築のエロティシズム』『西洋中世奇譚集成:東方の驚異』『西洋中世奇譚集成:聖パトリックの煉獄』『文化と外交』『動物裁判』『マゼラン 最初の世界一周航海』『郵便的不安たちβ』『動きが心をつくる』『西洋中世奇譚集成:妖精メリジェーヌ物語』『死を与える』『30年代の危機と哲学』『声と現象』『シュルレアリスム:終わりなき革命』『屍集めのフンタ』『England, England』『男の子女の子』『sex 石田衣良』『神をも騙す:中世・ルネッサンスの笑いと嘲笑文学』『アンフォルム』『アメリ音楽史』『未来の考古学』『もうすぐ絶滅するという書物について』