皮膚・表面

 トリン・ミンハ『ここのなかの何処かへ』

ここのなかの何処かへ: 移住・難民・境界的出来事作者: トリン・T.ミンハ,Trinh T. Minh‐ha,小林富久子出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2014/01/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 音感に優れた人が読むべき本だと思うし、戦略的な吃音や…

 佐藤亜紀『小説のタクティクス』

小説のタクティクス (単行本)作者: 佐藤亜紀出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/01/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る 『小説のストラテジー』の続編とのことだが、小説論というよりは絵画、映画、小説を題材とした人間論。 「スト…

 悲しみをつくること:『フランケンシュタイン』における吐き気のエコノミー

フランケンシュタイン (光文社古典新訳文庫)作者: メアリーシェリー,Mary Shelley,小林章夫出版社/メーカー: 光文社発売日: 2010/10/13メディア: 文庫 クリック: 14回この商品を含むブログ (31件) を見る 知らない人はいない(であろう)創作の雛型、ホラー…

 不鮮明なイメージの壁:『不鮮明の歴史』について

不鮮明の歴史作者: ヴォルフガングウルリヒ,Wolfgang Ullrich,満留伸一郎出版社/メーカー: ブリュッケ発売日: 2006/09/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 38回この商品を含むブログ (17件) を見る 芸術表現への昇格を夢見て不鮮明さを追究した写真家た…

 闇の空間化と物質的啓蒙――シヴェルブシュ『闇をひらく光』

闇をひらく光 〈新装版〉: 19世紀における照明の歴史作者: ヴォルフガング・シヴェルブシュ,小川さくえ出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2011/12/09メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (10件) を見る 知覚は歴史的に変わるもの。五…

 コラージュの20世紀

切断の時代―20世紀におけるコラージュの美学と歴史作者: 河本真理出版社/メーカー: ブリュッケ発売日: 2007/01/01メディア: 単行本 クリック: 15回この商品を含むブログ (14件) を見る 著者ブログ http://makomoto.seesaa.net/article/37837813.html より 目…

 深夜の繰り言

三人称の哲学 生の政治と非人称の思想 (講談社選書メチエ)作者: ロベルト・エスポジト,岡田温司,佐藤真理恵,長友文史,武田宙也出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/02/10メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 16回この商品を含むブログ (12…

 原子の光(影の光学)

原子の光(影の光学) (芸術論叢書)作者: リピット水田堯,門林岳史,明知隼二出版社/メーカー: 月曜社発売日: 2013/06/04メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (8件) を見る デリダのアーカイヴ論に始まり、H・G・ウェルズ、ボルヘス、耳な…

 病から始まる環境適応のこころみ

メルロ=ポンティと病理の現象学作者: 澤田哲生出版社/メーカー: 人文書院発売日: 2012/09/22メディア: 単行本 クリック: 91回この商品を含むブログを見る メルロ=ポンティの著作中、一見周縁的と思われる病理を扱った箇所を、彼の現象学の根幹を成すものと…

 批評からメディアへ:触感の渦巻きと『ホワッチャドゥーイン、マーシャル・マクルーハン?』

ホワッチャドゥーイン、マーシャル・マクルーハン?―感性論的メディア論作者: 門林岳史出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2009/09/18メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 17回この商品を含むブログ (12件) を見る カナダの英文学者にして、60年代の…

 ペルニオーラ『無機的なもののセックス・アピール』

無機的なもののセックス・アピール (イタリア現代思想2)作者: マリオ・ペルニオーラ,岡田温司,鯖江秀樹,蘆田裕史出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/09/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 17回この商品を含むブログ (8件) を見る 無機的なものだけが…

 ディディ=ユベルマン 『時間の前で』

時間の前で―美術史とイメージのアナクロニズム (叢書・ウニベルシタス)作者: ジョルジュディディ=ユベルマン,Georges Didi‐Huberman,小野康男,三小田祥久出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2012/06/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品…

 ドゥルーズ『差異と反復』

差異と反復〈上〉 (河出文庫)作者: ジルドゥルーズ,Gilles Deleuze,財津理出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2007/10/01メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 41回この商品を含むブログ (46件) を見る差異と反復〈下〉 (河出文庫)作者: ジルドゥルーズ,Gil…

 『ヴォイドへの旅』

ヴォイドへの旅 空虚の創造力について作者: 港千尋出版社/メーカー: 青土社発売日: 2012/09/25メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログを見る 港千尋といえば、『考える皮膚』がまず思い浮かぶ。本書はその続篇として読むこともできるかもしれな…

   鏡のなかのヨーロッパ、あるいは『ジョヴァンニ・アルノルフィニの結婚記念の肖像』

鏡のなかのヨーロッパ―歪められた過去 (叢書ヨーロッパ)作者: ジョゼップ・フォンターナ,立石博高,花方寿行出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2000/08/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る ヨーロッパについて語る方法は大きくふたつに分かれ…

 情念のクローゼット

ヴィーナス氏 (1980年)作者: ラシルド,高橋たか子,鈴木晶出版社/メーカー: 人文書院発売日: 1980/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 或る共通の考え……二人の性別を取り払うこと(93) 1884年、『ヴィーナス氏』はブリュッセルにて上梓され…

 intact, tangilble, tactile

触われない皮膚、触れることを禁じられた躰。 それでもわたしの眼球は布に、石にこっそり触れる。眼球についた疵と痕を全身がなぞる。全身が触る。 絵画にも法にも触れずに、あの触感はわたしのものになる。 ざらざら、ちくちく、ごわごわ、つるつる、とげと…

 オルセーの肌理

せっかくミュージアムパスを手に入れたというのに、ぐずぐずしているうちに有効期限が切れてしまい、オルセー美術館に出かける段になって行列に並ぶ羽目になる。 雨も降っていたことだし、寒くてかなわないことこの上ない一時間を凌いで、入場する。例によっ…